面接すべてに失敗し、ボストンキャリアフォーラムで全落ち(=内定なし)したらどうするか

ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)での「全落ち」は、決して少なくない学生が直面する、非常に厳しく、辛い現実です。しかし、まずは深呼吸してください。この経験はキャリアを諦める理由にはなりません。

「全落ち」は「全て終わり」を意味しません。 むしろ、次のチャンスへ向けて課題が明確になったと捉えるべきです。

進路が決まらない不安や焦りはあると思いますが、まだ打てる手はたくさん残っています。このガイドでは、あなたの現在の状況(卒業時期、学年、職歴)に応じた、具体的かつ実践可能な次のアクションをケース別に解説します。

諦めずに動き続ける限り、必ず道は開けます。

【ケース1】卒業まで1年以上ある新卒(学部生/院生)

卒業まで1年以上あるあなたは、最も失敗に余裕があるグループです。この時点では主にインターンシップを探しているはずなので、次の挑戦に向けて準備を始めましょう。

1)その他のキャリアフォーラムに挑戦する

キャリアフォーラムは1年を通して場所と規模を変えながら開催されています。自分の予定と予算の合うキャリアフォーラムに積極的に参加しましょう。

2)大学のキャリアセンター経由でインターンシップを探す

当然ですが、大学のキャリアセンターでもインターンシップの求人情報やサポートを得ることができます。国内・海外の求人情報にアンテナを張りましょう。

3)ネットワーキング(OB/OG訪問の強化)

海外では人脈(ネットワーキング)も実力のうちです。前職のつながり、卒業生のネットワーク(アラムナイ)など使えるものは何でも使い、インターンシップや情報収集の機会を探しましょう。特に、「なぜその会社に行きたいのか」を深掘りするために、OB/OG訪問(Coffee Chat)を集中して行いましょう。

4)1年後のボストンキャリアフォーラムに挑戦する

安心してください。来年のボスキャリがまだあります。今回の経験で明確になったギャップや反省をよく振り返り、1年後のボスキャリから逆算して準備を進められます。

  • 課題の具体化: 今回の失敗が英語力の不足か、業界・企業研究の深さか、面接でのロジカルさかなどを明確にし、次の1年で集中的に対策を講じましょう。

むしろ、この時点で多くの課題に気づけたあなたは、卒業まで1年を切っている他の学生と比較し、非常に有利な立場に立てていることになります。

【ケース2】卒業まで1年を切っている新卒(学部生/院生)

卒業が目前に迫っているため、緊急度は高いですが、まだ「新卒」ステータスを活かせる道は残っています。スピード感を持って行動しましょう。

1)12月に開催される東京キャリアフォーラムに挑戦する

米国の大学に留学している学生であれば、迷わず翌月の帰国チケットを購入しましょう。毎年12月には東京ウインターキャリアフォーラムがあります。また、ほぼ同時期開催のマイナビ国際派就職EXPOなどもあり、少なくない数の企業に応募することができます。

2)新卒向けエージェントを活用する

経験者向けが多い人材紹介会社ですが、数は少ないものの、新卒向けの専門エージェントも存在します。情報収集の効率化のためにも活用を検討しましょう。

3)国内学生は就職浪人、海外留学生は卒業時期をずらす(戦略的な新卒ステータスの維持)

東京CFやその後のキャリアフォーラムも滑ってしまった場合、別のオプションが卒業時期を伸ばすという作戦です。

  • 国内学生の場合: 学年単位となるため、就職浪人という選択肢になります。
  • 海外留学生の場合: 幸い、海外の大学は学年の概念が希薄で、留年という概念自体が存在しないことが多いです。最低限度の単位を取得し続けるなど、戦略的に卒業時期をずらすことを検討しましょう。
「新卒」ステータスを維持するメリット

新卒のジョブマーケットの規模はざっくり2万社40万人です。これが、一度卒業してしまうことで第二新卒扱いになってしまい、ジョブマーケットの規模は4000社4万人まで縮小します。通常、第二新卒は新卒で入社したものの、1~3年以内に退職した人材の穴埋めです。このジョブマーケットの規模に10倍もの開きがあることを忘れてはいけません。

学費がかかるのは痛いですが、進路が決まらないまま新卒のチャンスを失うリスクを考えると、これは生涯年収への投資と言えるでしょう。

4)大学院への進学も一つの選択肢

就職がどうしても決まらない場合、進学も一つの選択肢です。学部生は大学院を、修士課程の院生はPh.Dを目指すオプションがあります。

ただし、進学は専門性という武器が手に入る反面、年齢を重ねるリスクと、専門性が深くなる分、ジェネラリストとしての可能性を狭める可能性があることも覚えておく必要があります。海外では年齢は問題になりにくいですが、日本の新卒採用では、学士で23歳、修士で25歳以上になると人事部からの目が厳しくなる傾向があります。

5)外資系企業の通年採用・サマーインターン枠に切り替える

日系大手企業の多くは「新卒一括採用」ですが、外資系企業やベンチャー企業、日系グローバル企業の一部通年採用を行っています。また、次の夏のサマーインターンシップから内定に繋がるルートも残っています。これは卒業時期を遅らせるオプションと組み合わせることで、新卒枠での応募機会を増やすことができます。

【ケース3】卒業まで1年以上あるMBA生・就業経験者

ボスキャリでの失敗は、1年目と2年目の間の夏休み期間のインターンシップの獲得に失敗したことを意味します。フルタイム採用のオファーに直結する重要な機会を失いましたが、まだ時間があります。

1)12月に開催される東京キャリアフォーラムに挑戦する

学部生同様、東京キャリアフォーラムに挑戦できます。ただし、東京CFでは、MBAのインターンシップ求人はボスキャリと比較すると少ない傾向がある点に注意が必要です。

2)大学のキャリアセンター経由でインターンシップを探す

大学のキャリアセンターはMBAプログラムの強い味方です。企業とのパイプや、卒業生ネットワークの紹介など、積極的に活用しましょう。

3)大学の教授のアシスタントをする

大学の教授がリサーチアシスタントなどを募集していることがあります。これは資金を獲得できるだけでなく、CV(履歴書)を強化し、翌年の就職活動に不可欠な教授からの推薦状を得る絶好の機会になります。

4)ネットワーキング集中期間と位置づける

インターンシップが見つからなかった場合でも、単に夏休みを「遊んで過ごす」のではなく、「充電期間とネットワーキング集中期間」と定義しましょう。興味のある企業や卒業生とのCoffee Chatを設定し、情報収集と人脈構築に時間を使うことで、翌年の就職活動を有利に進められます。

5)MBA専門の求人媒体やエージェントの活用

MBA生をターゲットにした、専門性の高い求人情報が集まる媒体やエージェントが存在します。これらは一般的な新卒・転職サイトには載らないポジションの情報を持っていることがあるため、積極的に登録・活用を検討すべきです。

【ケース4】卒業まで1年を切ったMBA生・就業経験者

卒業まで1年を切っている就業経験のあるMBA生は、ボスキャリで失敗するとかなり苦しい立場に追い込まれます。学費が高額なため、留年や卒業時期の延長というオプションは現実的ではありません。職歴と人脈をフル活用して就職先を探す必要があります。

1)当然のこととして、東京キャリアフォーラムに挑戦する

当然のこととして、東京キャリアフォーラムに挑戦しましょう。キャリアフォーラム参加の際は、後述の転職エージェント経由での面接もうまく組み合わせて時間を有効に使うべきです。

2)転職向けのエージェントを活用する

職歴のあるMBA等の院生の場合、学部生には使えない別の就職活動ルートがあります。それが、転職向けの人材紹介会社の活用です。MBAで培った専門性やマネジメント経験は、通常の転職市場では高く評価されます。

  • 日本の転職市場でトップ3のエージェント(例:リクルートエージェントなど)に登録し、MBA保持者向けの求人を紹介してもらいましょう。

余談ですが、管理人もMBAですが、MBA卒業後の最終的な就職先はエージェント経由でした。各エージェントは登録すると担当者がつきますので、自分のことをよく知ってもらうなら、留学前や一時帰国の折に登録を済ませておいて、担当者と簡単な面談だけでもしておくと卒業が近くなっても焦らずに済むかもしれません。

3)ネットワーキング(職歴と人脈のフル活用)

MBA生の場合、強固な卒業生のネットワークがあるはずです。このネットワークは大学のキャリアセンター経由、またはLinkedInなどを使って積極的にコンタクトを取りましょう。

  • 卒業生の成功事例: 筆者のクラスメイトはLinkedinでJPモルガンのシンガポールオフィスで働いている卒業生にコンタクトし、内定を勝ち得ました。行動力こそが結果を開きます。
  • 前職のつながり: 就業経験があれば、前職での人間関係も活用できるかもしれません。元の職場に戻るのも一つの選択肢になるでしょうし、取引先に応募することもできるかもしれません。

まとめ

ボスキャリで失敗する、というのはなかなかきつい経験です。

しかし、上記で説明した通り、色々な手段が残っています。

僕のMBAのクラスメイトでも、リーマンショックの影響で卒業時に就職が見つからず、家族で半年ほどホームレスになった友人や、コックをして食い繋いだ友人などもいます。あれから何年も経って、二人ともきちんとした会社で働いています。

ボスキャリの全落ちという経験は、あなたのキャリアにおける「最大の早期警告」であり、「最も貴重な反省の機会」でもあります。

あなたの最終的な目標は、「ボスキャリで内定を得ること」ではなく、「望むキャリアを築くこと」です。ここで立ち止まらず、今回学んだことをバネにして、次の一歩を力強く踏み出しましょう。

行動し続ける限り、あなたの「新卒」ステータスも「希望」も失われることはありません。