就職活動は、長期的なキャリア視点で考えるべき

career

今回は一息ついて、キャリアについて考えてみたいと思います。

キャリアときいて、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。

年収でしょうか?社名でしょうか?人気のコンサルや投資銀行に行けば、
それがいいキャリアなのでしょうか?

日本を代表する経済学者の一人に、中谷巌氏という方がいらっしゃいます。

中谷巌氏の経歴ですが、1965年一橋大学経済学部卒業後、日産自動車(株)に入社。
69年ハーバード大学大学院に留学し、73年ハーバード大学経済学博士(Ph.D)を取得されています。

ハーバード大学で教鞭をとった後、84年大阪大学教授、91年一橋大学教授(~99年)を経て、
2001年多摩大学学長、008年より多摩大学教授・ルネッサンスセンター長を歴任されている
非常に有名な方です。

この中谷巌氏が、彼の著書『中谷巌の「プロになるならこれをやれ!」』の中で、
キャリアについて非常に示唆に富んだことを書かれています。

いくつか彼の著書の中から抜粋してみたいと思います。
どのメッセージも、非常に考えさせられます。

本来キャリアアップとは、
その人の人生のあり方を決めてゆく過程のことです。
いざというときに、退路を断って飛び込んでゆく価値のある対象を持っていることが、
実はキャリアアップの出発点になります。

見つけようという意識を持って人と接し、
社会と関わっていけば、いつか必ず転機に巡り合えるのです。
逆に「見つけよう」という意識がなければ、
せっかく目の前にチャンスがやって来ても、
気が付かないまま過ぎ去って行きます。

まだコミットできる対象を見つけることができずにいる人は、
「自分が一万時間を投資できるものは何か」
というテーマについて、深く考えてみてください。
一見遠回りのように見えますが、
自らの人生を賭けることができる何かを見つけることが、
一流のプロへの第一歩なのです。

キャリアアップを望むビジネスパーソンは、
「暗黙知的」なキャリアを形成するための方法を、
真剣に考えなくてはなりません。

私は常々「デジタル革命は究極のアナログ革命である」と言っています。
デジタル情報が形式知化し、価値を失ってゆく中で、
人間が高いお金を払ってもいいと思うのは、
感動や経験といった五感に訴えるアナログ的な価値です。

個人のキャリアデザインにおいても
「人に感動を与えるにはどうすればいいか」
を常に考えておく必要があります。

いかがでしょうか? 

キャリアディベロップメントとは、簡単に言えば、結局

「どんな生き方をしたいか?」

という質問に正面から向き合うことだと思います。

周囲の人々がうらやむような会社や仕事に就くことがゴールではありません。

最近も、ボストンキャリアフォーラムで投資銀行からオファーを貰い、3年ほど働いた友人が、
「3年働いて、この仕事に向いてないことが分かりました。どうしたらいいでしょうか。」
といって相談に来ました。

結局彼は、キャリアチェンジのために、MBA留学を検討しています。

いずれにせよ、自分が情熱を感じ、かつ社会に役立つことのできる仕事を一生をかけて取り組むことができれば、本当に幸せな人生を歩めるはずです。

就職活動は、人生のいろいろなステージの中でも、最も重要な時期のひとつです。
この大切な時期に、自分自身のこれからの人生について、じっくりと考えてられることを強くおススメします。