
フェルミ推定とは?
物理学者エンリコ・フェルミが考案した思考技術で、身近なテーマを仮定と分解によって論理的に推定する方法です。
例えば「東京にあるピアノの台数」「1年間に消費される割り箸の本数」など、データが存在しない・調べにくい数値を推論で導き出します。
フェルミ推定(Fermi Estimation)は、限られた情報をもとに、「大きく外れない妥当な数値」を導く能力を試す問題として、コンサルティング業界、総合商社、精密機器メーカー、外資系企業などの新卒採用面接で頻出しています。
企業がフェルミ推定で見るポイント
見られている能力 | 説明 |
---|---|
論理的思考力 | 断片的な情報から、数値や結論に至るまでの過程を筋道立てて説明できるか |
構造化スキル | 複雑な問題をいくつかのシンプルな要素に分解し、順序立てて処理できるか |
仮説構築力 | 現実的な前提条件(仮定)を設定し、それに基づいた推論ができるか |
コミュニケーション力 | 自身の思考プロセスを相手にわかりやすく伝える表現力があるか |
例題:日本にあるコンビニの数を推定せよ
- 日本の人口を1億2,000万人と仮定
- 1世帯あたり平均2.4人とし、世帯数を約5,000万と見積もる
- 平均して500世帯に1店舗の割合でコンビニが存在すると仮定
- 5,000万 ÷ 500 = 100,000 → 約10万店舗と推定
実際には約5.5万店舗(2024年時点)。この問題では正確な数値よりも、「どう考えたか」=プロセスの妥当性が評価されます。
フェルミ推定の対策法5つのポイント
1. 構造化の練習
フェルミ推定では、「複雑な問題をいかにシンプルな要素に分解できるか」がカギになります。例えば「東京にある自動販売機の数」なら、「人口 → エリア → 密度 → 設置可能な場所」という風に、段階的に分解する癖をつけましょう。図に書いて整理するのも効果的です。
2. 数字感覚を養う
日頃から「日本の人口」「東京の面積」「平均世帯人数」「コンビニの数」など、代表的な統計情報を押さえておくことで、推定の精度とスピードが大幅に向上します。就活用ノートやアプリで暗記するのもおすすめです。
3. 型を知る
フェルミ推定にはいくつかの「型」が存在します。たとえば、面積 × 密度、人数 × 使用頻度、価格 × 購買回数などの定番の考え方を身につけておくと、どんな問題でも応用が効きやすくなります。型を引き出せる引き出しを自分の中に持っておきましょう。
4. 声に出す練習
面接では、ただ考えるだけでなく、「どう説明するか」も評価対象です。自分の推論を言葉にして伝える練習を繰り返しましょう。1人で話す練習はもちろん、模擬面接や友人との練習でも効果的です。
5. 過去問に慣れる
実際のコンサルや商社、メーカーの面接で出題されたフェルミ推定の過去問を解くことで、出題傾向や解法のスピード感に慣れることができます。インターネットや書籍、就活サイトに豊富な例題が掲載されているので、ぜひ活用してください。
練習におすすめのフェルミ推定例題
- 東京駅を1日に利用する人数は?
- 日本の歯科医院の数は?
- 1年間に日本で売れるスニーカーの数は?
- 全国のエレベーターの点検件数は?
- 大学の学食で1日に提供される食数は?
- 全国の美容院で1年間に使われるシャンプーの量は?
まとめ
フェルミ推定は、正しい数字よりも、「筋の良い仮定」と「論理的な説明」が評価されます。就職活動での面接だけでなく、ビジネス全般に役立つスキルなので、日常的に練習しておきましょう。