4大監査法人ビックフォーのキャリアパスと各ポジションの役割
Big4と呼ばれる4大監査法人 (KPMG, PwC, Deloitte, EY)のキャリアパスは、コンサルティング業界同様、どのファームも面白いように似ています。例えば、以下はKPMGのサイトで紹介されているキャリアパスですが、他の監査法人のページを見ても、どの監査法人もほとんど同じ仕組みを採用しています。
以下はKPMGのページで紹介されているキャリアパスです。
こちらはPwC。多少名称や階層は違いますが、ほぼ同じです。
以下は、各ポジションに求められる役割です。
アソシエイト
通常、新卒か第二新卒のスタッフが採用された場合はこのポジションからスタートします。特定のクライアントがアサインされ、シニアアソシエイトの指導のもと、様々な現場業務を学び習得していきます。
・ファームについての理解を深める
・自己研鑽
・チームで働く
・基本サービスをクライアントに提供できる
シニアアソシエイト
通常3-5年目のスタッフがシニアアソシエイトとして働きます。チームの中で仕事をリードする役割があり、監査や税務業務における日々の仕事を管理することになります。
・品質の高いレビューができる
・アソシエイトの指導ができる
・より幅の広いサービス提供できる
マネージャー
通常5-6年目のスタッフがマネージャーとして働きます。シニアアソシエイト、アソシエイトを管理しながら、クライアント企業の担当窓口として、様々なサービスを提供しながら、クライアントの戦略達成に貢献し、クライアントとの関係を強化する責任があります。新しいスタッフの採用業務にも従事します。
・プロジェクトを管理できる
・よりビジネス的な側面からアプローチできる
・クライアントとの関係構築ができる
・様々なネットワークを活用してサービス提供ができる
シニアマネージャー
シニアマネージャーは、7-9年目のスタッフです。業界グループのリーダーとして働き、複数のクライアントを担当します。マネージャーとしての仕事もありますが、より高度で複雑な仕事を担当していくことになります。また、セミナーの開催やリサーチなど対外的な仕事も期待されます。
・チームを管理することができる
・市場開拓ができる
・特定の分野における専門家になれる
ディレクター
ディレクターは、業界グループのリーダーたちを束ね、管理監督します。複数のクライアントの戦略立案の支援、ファームのサービス開発にも携わります。通常9-10年目のスタッフが該当します。
・新規ビジネスの開拓ができる
・複数の分野における専門性を発揮できる
・専門家として著名な人物だと認められる
パートナー
パートナーは、ファームを代表するスタッフとして各クライアントや業界グループの予算計画や財務目標の責任を負います。クライアントの新規獲得もパートナーの責任です。ファームの代表として、セミナーの開催、コース教授、記事の執筆なども期待されます。
・クライアントの新規開拓ができる
・エグゼクティブたちとの関係構築ができる
・複数の分野における専門性を発揮できる
・ファーム全体への影響を及ぼすことができる
各ポジションの年収
以下は、各ポジションの年収の目安です。
ポジション | 在職期間 | 年収 |
---|---|---|
アソシエイト | 1-2年 | 500-600万 |
シニア・アソシエイト | 3-4年 | 700-800万 |
マネージャー | 5-7年 | 900-1200万 |
シニア・マネージャー | 7-9年 | 1300-2400万 |
ディレクター | 9-10年 | 2800-3800万 |
パートナー | 11年- | 4500万- |
一見、めちゃくちゃな世界のようにも思えますが、給与を払う組織からすると実に利にかなっています。というのも、コンサルティングや監査業務は人件費以外にあまりコストは掛からないからです。例えば、監査報酬5億円の企業に10人のチームで監査業務にあたったとして、一人平均1000万円の報酬を支払ったとしても、1億円のコストしかかりません。売り上げに占める比率は20%です。仮にその倍を払ってもまだ組織には半分以上の利益が残る計算になります。
もちろん、自社オフィス等の固定費はありますが、最も数が多いアソシエイトやシニアアソシエイトは基本的にはクライアント企業のオフィスで働くため、監査法人側はオフィススペースのコストも負担する必要がありません。
上のポジションに行くほど年収に幅があるのは、担当するクライアントによって報酬額が大きく差があるからです。当然、金融機関やメディカル系は報酬額が高くなりますし、大手のクライアントになればなるほど監査報酬も上がるのは容易に理解することができます。
十数年でパートナーになるという、通常の企業では考えられないようなスピード出世を考えると、この業界がどれだけ競争が激しく、激務なのか想像がつきます。逆に言うと、長年に渡って務めるのが容易ではない業界とも言えます。普段から夜も昼も週末もなく働き続ける必要がある上に、季節労働者と呼ばれるように決算時期になると忙しさはさらに上がります。1年で通常企業の2年分の経験を積めると言われている業界であることを考えると、10数年でパートナーとして活躍できるというのも納得できるかもしれません。
アソシエイトの初任給はオフィスの所在地によって異なる
幅のある初任給ですが、オフィスの所在地によって異なります。ニューヨークやロサンゼルスが高いのは、やはりハウジング等の物価が高いことがその背景にあります。
ニューヨーク – $62,000
ロサンゼルス – $60,000
シカゴ – $60,000
ダラス – $55,000
アトランタ – $54,000
シアトル – $51,000
デンバー – $50,000
ちなみに、私の友人の話によると、アソシエイトやシニアアソシエイトのレベルでは、退職願いを出しても引きとめられることはほぼないそうです。コンサルティングファーム同様、アップorアウトというカルチャーに加え、監査法人でキャリアをスタートしたいと考える学生が非常に多く、いつでも必要なだけ優秀な学生を採用できるというのがその背景にあるようです。
ビックフォーの就職攻略本は英語のKindle版なら入手できる
ビックフォーの場合、コンサルティング業界や投資銀行とは異なり、対策本なるものがあまり出回っていません。応募する学生の絶対数が少ないため、出版社も手を出さないのだと思います。
しかし、英語のKindle版であれば以下の通り何冊か入手することができます。どれもビックフォー勤務者と思われる著者が書いたもので、ビッグフォーの業界や就職の全体像を理解するのに役立ちます。
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