ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)に向けた準備、順調に進んでいますか? 「自己分析、何から手をつければいいかわからない」「日本の就活本とやり方が違うの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実は、ボスキャリで求められるのは、日本的な「過去の感情の振り返り」だけではありません。「あなたのスキルがどうビジネスに貢献できるか」を論理的に証明する、米国流の自己分析が不可欠です。
今回は、米国名門大学のキャリアセンターが実際に学生に指導している手法をベースに、ボスキャリで勝ち抜くための自己分析メソッドを解説します。
1. まずは「3つの軸」で自分を棚卸しする
いきなりエントリーシートを書き始めるのではなく、まずはご自身の素材を体系的に整理することから始めましょう。名門大キャリアセンターでは、以下の3つの軸でワークシートを埋めることを推奨しています。
- 興味 (Interests): 時間を忘れて没頭できること、業界として関心がある分野は何か?
- 価値観 (Values): 仕事をする上で譲れないものは?(例:チームワーク、社会的インパクト、高収入、ワークライフバランスなど)
- 強み (Strengths): 自然と人よりうまくできること、習得したスキルは何か?
💡 キャリアアセスメントの活用 客観的な視点が欲しい場合は、適性検査などのツールを使うのも有効です。Myers-Briggs (MBTI)、Strong Interest Inventoryなどが有名ですが、結果を鵜呑みにせず「なぜその結果が出たのか」を言語化する材料として使いましょう。
2. 「行動」と「成果」で経験を深掘りする(PARメソッド)
ここがボスキャリ攻略の最重要ポイントです。 レジュメ(英文履歴書)や面接でアピールする際、単に「〇〇をしました」という事実の羅列では、採用担当者の心には響きません。
米国では、「行動(Action)」と「結果・影響(Impact/Result)」に焦点を当てて経験を語る手法がスタンダードです。これは「Bullet Plus」や「PAR (Problem-Action-Result) ステートメント」と呼ばれています。
経験を輝かせるための自問自答(Bullet Plus法)
ご自身の経験を書き出す際、以下の3つの問いに答えてみてください。
- What: 何をしたか?
- How/Why: どのように、なぜ、どのくらいの頻度で行ったか?
- Impact/Result: どのような結果、成果、影響を与えたか?
【改善例】ドーナツショップのアルバイト
「ただのバイトだからアピールできない」と思っていませんか? 深掘りの仕方で印象は劇的に変わります。
| Before(事実のみ) | After(深掘り後) |
|---|---|
| ドーナツをお客様に提供した。 | 6人のチームと連携し、ピーク時には1シフトあたり約175人のお客様に対して、迅速かつ正確にサービスを提供し、店舗の売上目標達成に貢献した。 |
このように、「誰と」「どれくらいの規模で」「どんな成果を出したか」を加えることで、単なる作業が「ビジネススキル」としての経験に昇華されます。
3. 採用担当者に刺さる「表現力」を磨く
自己分析で掘り起こした素材を、実際のレジュメや面接の言葉に変換していきましょう。ここでは「数値化」と「強力な動詞」が鍵を握ります。
数値化(Quantification)で説得力を増す
「頑張りました」「たくさん売りました」といった曖昧な表現は避けましょう。ビジネスは数字の世界です。学生時代の経験であっても、可能な限り数値化することで、あなたの能力が可視化されます。
- 規模: 「部員50人のリーダー」「予算30万円の管理」
- 変化率: 「来場者数を前年比20%増加させた」
- 頻度: 「週に3回、留学生向けの日本語指導を行った」
強力なアクション動詞(Action Verbs)を使う
特に英文レジュメでは、文頭の動詞が勝負を決めます。”Responsible for…”(~の担当でした)や “Assisted…”(手伝いました)といった受動的な言葉ではなく、主体性を示す「アクション動詞」を選んでください。
▼ ボスキャリで使えるアクション動詞リスト
| カテゴリー | 推奨動詞(例) |
|---|---|
| 達成・改善 | Achieved, Improved, Increased, Exceeded, Solved |
| リーダーシップ | Led, Managed, Supervised, Mentored, Directed |
| 創造・企画 | Created, Designed, Developed, Initiated, Launched |
| 分析・財務 | Analyzed, Audited, Forecasted, Researched, Calculated |
| コミュニケーション | Negotiated, Persuaded, Presented, Collaborated, Promoted |
4. アウトプットで最終確認
自己分析の結果は、全ての選考プロセスに反映されます。
- LinkedIn / レジュメのSummary: 自己分析の要約です。ヘッドライン(タイトルのようなもの)は、ご自身のスキルと達成事項が一目でわかる、キャッチーなものにしましょう。
- 面接対策: 「なぜその専攻を選んだのか?」「なぜこの業界なのか?」という質問は、自己分析ができていれば自然と答えが出るはずです。一貫性のあるストーリー(物語)として語れるよう準備してください。
まとめ:自己分析は「遺跡発掘」である
最後に、自己分析をイメージしやすくする比喩をご紹介します。
自己分析とは、まるで考古学者が遺跡を発掘する作業のようなものです。
過去の経験(地層)を丁寧に掘り下げ、単なる出来事(陶片)として見るのではなく、「なぜそれをしたのか?」「どう乗り越えたのか?」を分析することで、現在のあなたの能力や価値観(文明の構造)を再構築していくプロセスです。
ボスキャリという短期間決戦の場において、この「発掘作業」を丁寧に行った人こそが、初対面の面接官に対して「自分という人間が持つ価値」を明確に、そして自信を持って提示できるのです。
皆さんのボスキャリでの成功を心から応援しています!
