優秀な学生はどの企業も欲しいものです。ボストンキャリアフォーラムでは、一部の学生に企業からのオファーが複数集まってしまうことは決して珍しいことではありません。
ボスキャリは3日間という短期間で内定が出る特殊なイベントです。その場の雰囲気や勢いに流されず、後悔のない決断をするために、複数内定をもらった際の整理方法と、失礼のない辞退のマナーについて解説します。
1. まずは冷静に「回答期限」を確認する
内定の連絡をもらったら、舞い上がる気持ちを抑えて、まずは「いつまでに返事をすればよいか」を必ず確認してください。
ボスキャリでは、「明日までにサインして」と即決を迫られることもあれば、「帰国後で構わない」と言われることもあります。すべての手持ちのカード(内定)の回答期限をリスト化し、スケジュールを把握することが最優先です。
注意点: その場で即決を求められても、本当に第一志望でない限りは「人生の重要な決断なので、一晩考えさせてください(または家族に相談させてください)」と伝え、一度持ち帰るのが賢明です。
2. 徹底比較!後悔しないための判断軸
「A社は給料が良いけど激務そう」「B社は社風が好きだけど勤務地が…」など、比較項目は多岐にわたります。頭の中だけで考えると混乱するため、以下の項目で比較表を作ってみましょう。
| 比較項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 仕事内容・専門性 | 自分のやりたいことと合致しているか?数年後に市場価値が上がるスキルが身につくか? |
| 給与・福利厚生 | 初任給だけでなく、家賃補助や昇給率、現地採用か駐在員待遇か(海外勤務の場合)も重要です。 |
| 社風・人 | 面接官やディナーで会った社員の雰囲気はどうでしたか?「この人たちと一緒に働きたい」と思えるかは直感を信じてOKです。 |
| キャリアパス | 将来的な転職のしやすさや、社内での異動の柔軟性はありますか? |
これらを書き出し、「絶対に譲れない条件」と「妥協できる条件」に優先順位をつけてみてください。
3. 本命企業の選考がまだ残っている場合
「滑り止めのC社から内定が出たけれど、本命のD社の最終面接は明日…」というケースはボスキャリあるあるです。
この場合、C社に対して回答期限の延長をお願いする必要があります。ただ「他社を見たいから」とストレートに言いすぎるのは角が立ちます。以下のように誠意を持って相談しましょう。
回答期限の延長をお願いするメール文例
以下は、回答期限の延長をお願いするときのメールの文例です。
件名:内定のご連絡への御礼と回答期限のご相談(氏名)
〇〇株式会社 人事部 採用担当者様
お世話になっております。(大学名)の(氏名)です。 この度は、内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
私のこれまでの経験を評価していただき、大変光栄に存じます。 入社につきまして、前向きに検討しておりますが、 一生に関わる重要な決断のため、 現在選考が進んでいる他社の結果も踏まえ、慎重に判断したいと考えております。 つきましては、勝手なお願いで大変恐縮ですが、 〇月〇日まで、回答をお待ちいただくことは可能でしょうか。
貴社が第一志望群であることに変わりはありません。 後悔のない状態で入社を決断したく、ご検討いただけますと幸いです。 何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
4. トラブル回避!スマートな「辞退」のマナー
最終的に1社に決めたら、他の企業には速やかに辞退の連絡を入れましょう。「気まずいから」と連絡を後回しにしたり、無視(ゴースティング)したりするのは絶対NGです。
業界は意外と狭く、将来どこで関わるかわかりません。「今回は縁がなかったが、素晴らしい対応だった」と人事に思わせるのが、プロフェッショナルな対応です。
内定辞退のメール文例
件名:内定辞退のご連絡(氏名)
〇〇株式会社 人事部 採用担当者様
お世話になっております。(大学名)の(氏名)です。
先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。 また、ボスキャリ期間中は面接やディナーなど、貴重なお時間を割いていただき感謝申し上げます。 帰宅後、自身のキャリアについて改めて真剣に検討いたしました結果、 誠に恐縮ながら、今回は別のご縁(他社)へ進む決断をいたしました。
本来であれば直接お伺いしてお詫びすべきところ、 メールでのご連絡となりますこと、重ねてお詫び申し上げます。 末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
署名
5. 最後に:自分の決断を「正解」にするのは自分
どの企業を選んでも、「もしあっちを選んでいたら…」と思う瞬間は来るかもしれません。しかし、どの道を選んだとしても、その後の皆さんの行動次第で、その選択は「正解」になります。
ボスキャリという特殊な環境で勝ち取った複数の内定は、皆さんの実力の証明です。自信を持って、最後は自分の心が躍る方を選んでくださいね。
