ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)は、海外経験を持つ皆さんが、そのユニークなバックグラウンドを活かして日本のトップ企業や外資系企業に挑む一大イベントです。

企業のメッセージや募集要項を徹底分析した結果、バイリンガル学生(またはグローバルな経験を持つ学生)に期待されていることは、単なる語学力に留まらず、主に以下の3つの側面に集約されます。内定を勝ち取るために、自身の経験をこの期待値に合わせてブラッシュアップしましょう。

1. グローバルビジネスの即戦力となる「高度な語学力とその活用」

多くの企業が、高い語学力(特に英語力)をグローバルビジネスの推進における即戦力として期待しています。重要なのは「話せる」ことではなく、「プロフェッショナルな環境で複雑な業務を遂行できる」レベルであることです。

求められる言語スキル 企業名と具体例
ネイティブレベルの日本語 レーサム、第一生命グループ、PwCコンサルティング/アドバイザリー、NSSKグループなど
→ 難解な専門用語(不動産、金融、法務など)を扱う職種で必須。
ビジネス上級レベルの英語 みずほFG(IB/GM)、第一生命グループ(基幹職)、PwCコンサルティング/アドバイザリー、NSSKグループ、リログループなど
→ 海外との直接的な交渉、契約書の読解、専門的な議論に耐えうるレベル。
文化理解と柔軟な対応力 AOI Pro.、ダイキンなど
→ 制作・ビジネス過程で発生する文化や価値観の違いを理解し、コミュニケーションを円滑に進める能力。

💡 ボスキャリ対策の補足

    • 面接では、ただTOEICのスコアを伝えるだけでなく、「英語で〇〇のプロジェクトを完遂した経験」など、具体的な業務遂行能力に焦点を当てて説明しましょう。
    • 語学力向上のための支援制度が充実している企業も多いです(フジワーク、HENNGEなど)。これは入社後も成長し続ける意欲があるかを見られている証拠です。

2. 企業の成長に直結する「グローバルな事業推進力と価値創造への貢献」

バイリンガル学生は、海外展開や国際的な活動において、具体的に事業を牽引し、新たな価値を生み出す役割を期待されています。単なる翻訳者ではなく、「国際的なビジネスリーダー候補」としての期待です。

      • 海外事業の牽引と拡大: 三井不動産、ピュアグロース、豊島、日精樹脂工業など、売上の多くを海外が占める企業や、これから海外展開を本格化させる企業で、その事業の核となる人材を求めています。
      • 国際的な「架け橋」(ハブ)としての役割: AOI Pro.やリログループが求めるように、「国外」と「国内」の文化、人材、情報をスムーズに繋ぎ、シナジーを生み出すコミュニケーター兼リーダーの役割です。
      • 多様な専門分野でのグローバル対応: KADOKAWAのように、海外進出戦略、IPライセンス運用、人事・法務といったコーポレート部門のグローバル化など、幅広い分野での知見と対応力が期待されています。

💡 ボスキャリ対策の補足

海外留学や滞在経験を、「異文化の中で設定した目標に対し、どのように戦略を立て、行動し、結果を出したか」という事業推進のフレームワークで語り直すと、企業の期待値に合致します。

3. 困難を乗り越える「多様な環境での主体性と適応能力」

グローバルな環境で成果を出すためには、語学力や知識以上に、文化や価値観の違いを乗り越えて行動できるマインドセット資質が重視されます。

期待される資質・マインドセット 企業名と具体例
自律性とチャレンジ精神 トグルホールディングス
→ 困難な状況でも怯まず、主体的に課題を解決し、大きな使命に挑む「胆力」が求められます。
多角的な視点と行動力 ダイキン、三菱ふそう
→ 「世界は均一ではない」ことを理解し、現地の人に真摯に向き合い、自分の頭で考え、自分の足で行動することが求められます。異なる視点を解決策に活かす力。
多様性の尊重(Diversity & Inclusion) シティ(Citi)、ロレアル
→ 自身の多様性を価値と捉え、異なる意見・価値観を尊重し、チームのパフォーマンスを最大化できる能力。

💡 ボスキャリ対策の補足

      • 留学やインターンシップでの「失敗経験」を話す際、その失敗を通じて「多様な環境での適応力」や「自律的な問題解決能力」をどのように身につけたかを重点的にアピールしましょう。
      • 「留学先で〇〇という文化の違いに直面し、それを乗り越えるために〇〇という行動を起こした」といった具体的なエピソードは、説得力があります。

【まとめ】企業が求めるのは「総合的なグローバル人材」

企業が求めるのは、単に外国語ができる人ではなく、その能力を背景に「グローバルな環境下で主体的に課題を解決し、企業の成長に貢献できる『総合的な能力』」です。

ボスキャリ当日までに、皆さんの海外経験や語学力を、上記3つの期待値(語学力活用、事業推進力、主体性/適応能力)に合わせて整理し、「皆さんが企業にもたらす具体的な価値」として明確に伝えられるよう準備しましょう。

内定獲得に向けて、このフレームワークが皆さんの成功を後押しすることを願っています。