先日、異業種交流会に参加する機会があったのですが、その中で就職活動におけるインターンシップの位置付けとトレンドについて、外資系企業の人事部で勤務する二人の人事マンにインタビューをしてきました。

外資コンサル人事部Aさんと、外資小売人事部Bさんの略歴

管理人管理人

略歴を教えてもらえますか?

外資コンサル人事部Aさん外資コンサル人事部Aさん

明治大学卒業後、外資系の保険会社に営業職で就職。日系人材サービス大手で採用サービスの営業職を経て、現在は外資系コンサルの人事部で採用リーダーとして働いています。

外資小売人事部Bさん外資小売人事部Bさん

早稲田大学卒業後、新卒で日系証券会社の営業職に勤務。その後、ベンチャー企業に転職するも半年で退職。日系の電機メーカーの人事部に転職し、6年に渡り人事業務を幅広く経験。現在は外資系小売の人事部門にいます。

なぜ近年インターンシップを採用する企業が増えたのか?

管理人管理人

昨今、インターンシップを採用する企業が増えていると思いますが、なぜなのでしょうか?

外資小売人事部Bさん外資小売人事部Bさん

確かに、最近はインターンシップを採用する企業が増えています。私は日系の電機メーカーにいたのでよく分かりますが、これは経団連の就職協定による縛りが背景の一つにあります。

管理人管理人

経団連の就職協定ですか。

外資小売人事部Bさん外資小売人事部Bさん

そうです。経団連の就職協定では、2018年は選考活動は卒業・修了年度の6月1日以降しか開始してはいけない、という取り決めになっています。それ以前は広報活動だけが許されています。この採用協定の時期が問題なのですが、勉強させたい大学側からの要望により、この時期が数年前よりも後ろ倒しになっているのです。

例えば、2012年ごろはこの解禁日は4月で、7月くらいまでには概ね就職活動は終わっている、というが従来のスケジュールでした。しかし、政治的な圧力があり、2015年には8月に後ろ倒しになりました。

ところが、企業側から多くの不満が寄せられたためか、色々な綱引きの末、2018年現在は6月になっています。

管理人管理人

経団連の就職協定は就職活動全体として、どの程度の企業が守っているのでしょうか?

外資小売人事部Bさん外資小売人事部Bさん

この協定は当然ですが、経団連に所属している企業だけに当てはまるものです。経団連に所属している企業数はおよそ1500社だけで、基本的に大中の日系企業です。外資系企業や、多くの中小企業は関係ありません。つまり、経団連に所属している企業にとっては、採用協定は採用活動における足枷になっているのです。そこで注目されたのがインターンシップです。

インターンシップならば、広報活動という位置付けになり、採用活動には該当しない、と考えらえています。実態は採用活動の色がかなり濃いのですが、一応セーフということで、学生の青田買いをする上で、経団連に所属している企業にとって、就職協定のハンディを埋める貴重なオプションになっていったのです。

給与がでる長期のインターンシップと、給与が出ない短期のなんちゃってインターンシップ

管理人管理人

インターンシップの内容について聞きたのですが、どのようなプログラムでしょうか?

外資コンサル人事部Aさん外資コンサル人事部Aさん

うちの会社では、インターンシップの採用枠が二つあります。海外留学生向けと、国内学生向けです。海外留学生向けでは、ボストンキャリアフォーラム でのみインターンの採用活動を行います。国内学生も同じプログラムに参加しますが、それぞれのカテゴリで採用人数の枠が決まっています。期間は夏休みの3週間ほどで、給与も支給されます。

外資小売人事部Bさん外資小売人事部Bさん

日系企業の中で流行っているのは、正直、いわゆるコンサルなどが実施している長期のインターンシップなどではなく、1日から数日のインターンシップで、個人的にはもはやこれは短期の職場体験プログラムだと思います。

管理人管理人

なぜ長期のインターンシップをやらないのでしょうか?

外資小売人事部Bさん外資小売人事部Bさん

長期のインターンシップをやらないの理由ですが、要は需要と供給の問題です。

まだ企業を絞りきれていない学生にとって、期間が長いインターンシップはよほどの覚悟がないと踏み切れません。一方、数日の短期のインターンシップであれば、学生の方も気楽に参加できるので、人気が高い。つまり、需要が大きいということです。さらに、企業の方も準備する負荷が低いので、そこもウィンウィンになります。

業界が絞り切れていない学生の中には、色々な業界のなるべく名前の通った短期のインターンシップを複数経験しておき、応募業界に応じて履歴書に書く内容を書き分ける人もいると聞いたことがあります。

人事部はインターンシップをどのように評価するのか? インターンシップの意味と目的

管理人管理人

採用側はインターンシップを評価するのでしょうか?

外資コンサル人事部Aさん外資コンサル人事部Aさん

最近は、インターンシップの経験者が7割にも登るという記事を新聞で読みましたが、確かに履歴書の中に、色々なインターンシップの経験を記載する人が増えてきましたね。

採用側はインターンシップを評価するのか、という質問ですが、インターンシップの経験は採用上プラスになります。これは間違いありません。

ただ、違和感を感じるのは、学生の中には色々な企業のインターンシップに参加する目的が、履歴書やエントリーシートのネタ作りのような位置付けになっている感があることです。もちろん、そういった側面があることは否定しませんが、本来の目的である業界や企業、職種への理解を深める、という点をきちんと踏まえていて欲しいですね。

管理人管理人

ある企業でインターンシップを経験すると、その企業から内定をもらえる率は高くなるのでしょうか?

外資コンサル人事部Aさん外資コンサル人事部Aさん


そうですね。一般応募と比較すると、内定が出る確率は高いはずです。正確な数字は手元にありませんが、うちの会社の場合は、インターンシップの選考の場合、書類選考で4割まで落とし、面接で1割まで絞り込む、という感じです。そこからインターンシップが始まり、良い人材がいれば、その年の採用枠に応じて上位の人材から順にオファーを出していきます。

外資小売人事部Bさん外資小売人事部Bさん

就職協定に縛られている日系企業の場合、インターンシップを選考に使うことはできません。ですから、実際に資料としての人材の評価、というものはインターンシップを通して公式には行われませんが、学生を相手にする企業側スタッフの頭の中では非公式の人材評価が行われています。

で、協定が解禁された6月1日になった瞬間、面接にすぐ呼んで、いきなりそこで内定を出す。結構えげつないですよね。

新卒を数百人単位で採用する日本を代表するF社とかは、インターンシップから●●人採用する、というような明確な目標が人事部内にあると聞いています。

インターンシップに参加しない方がいい人もいる? インターンシップで内定をもらえる学生と、落ちる学生

管理人管理人

では、学生はインターンシップに積極的に参加するべきなのでしょうか?

外資コンサル人事部Aさん外資コンサル人事部Aさん


基本はそういうことになります。

企業側からすると、インターンシップのメリットは通常の選考プロセスではわからない学生の様々な側面が見れることです。このことには二つの側面があります。

一つは、通常の選考プロセスでは内定をもらえない学生が、逆にインターンシップでは評価されて内定をもらえるパターン。自己アピールはあまり上手くないけれど、仕事をさせるとなかなかいい仕事をする、という学生が該当します。

もう一つが、就職活動のスキルだけに秀でている学生が、インターンシップで化けの皮が剥がれてしまうパターン。これも、一定の確率で必ずいます。面接とかではピカイチなのに、仕事を一緒にしてみたり、一定時間一緒に時間を過ごすと『あれ? こんなものかな』となってしまう。

つまり、自分という人間を色々見てもらって、それでも内定をもらえる自信があるなら、第一志望の会社のインターンシップに挑戦してみる、という考え方です。

管理人管理人

それは面白い提案ですね。でも、面接官を騙して(?)内定を貰っても、中身が伴わないなら実際に就職した後でものすごく苦労するんじゃないですか?

外資コンサル人事部Aさん外資コンサル人事部Aさん


全くその通りです。結局、社会人として、いや、一人の人間としての人間力を磨くしかない、ということになりますね。

管理人管理人

人事部Aさん、Bさん本日はありがとうございました。